お金の話は、事務的で冷たく感じるかもしれません。それでも、知らずに不安を抱えるより、事実を先に知っておいたほうが、少しは楽になると思います。ここでは、費用と、使える制度だけを整理してお伝えします。

まず知っておいてほしいこと

赤ちゃんの心拍が、何らかの理由で自然に止まった場合は保険診療の対象になりますが、何らかの事情があって妊娠を終わらせる処置を選んだ場合は原則として自費になります。母体の健康を著しく害するおそれがある等の理由による場合は保険が適用されることもありますが、実務では自費となるケースが多くあります。

自費であっても、別枠で受け取れる制度があります。順に説明します。

処置にかかる費用の目安

処置そのものの費用は、全国一律の決まった金額はなく、病院によって差があります。目安として「30万円台〜60万円程度」を示しているクリニックが複数ありますが、あくまで一部の医療機関が公表している目安で、公的な統計ではありません。

まず「費用はどのくらいかかりますか」と、受診する病院に直接聞いてみてください。

出産育児一時金は、受け取れます

妊娠12週(85日)以降であれば、死産・流産・処置を選んだ場合を含めて、出産育児一時金の支給対象になります。

  • 金額は48万8千円〜50万円です(産科医療補償制度の対象になる医療機関で出産した場合は50万円、対象外の場合は48万8千円)
  • 処置の費用そのものが自費であっても、この一時金は別枠で受け取れます
  • 加入している健康保険(協会けんぽ・健康保険組合・国民健康保険など)に申請します。病院や職場の担当窓口に「出産育児一時金の申請をしたい」と伝えてみてください

医療費控除の対象になります

処置にかかった費用は、確定申告での医療費控除の対象になります。1年間の医療費が一定額を超えた場合、税金の一部が戻ってくる制度です。領収書は、念のため保管しておいてください。

「自費だから医療費控除の対象外なのでは」と思う方もいるかもしれませんが、それは違います。 保険が適用されるかどうかと、医療費控除の対象になるかどうかは、別の制度です。母体保護法に基づく処置は、正当な医療行為として扱われるため、自費であっても医療費控除の対象になります。

死産届に必要な書類の費用について

死産届には、医師が作成する死産証書(死胎検案書)が必要です。この発行費用について、公的機関が金額まで案内している情報は見つかりませんでした。自費扱いになると考えられますが、正確な金額は、出産(死産)を取り扱った医療機関に確認するのが確実です。

お金のことで、あなたを責める人がいたら

「そんなにお金がかかるなら」というような言葉を、もし誰かにかけられることがあったら——それは、あなたの決断に口を出していい理由には、なりません。費用のことも、決断のことも、あなたと、必要であれば専門家だけで決めていいことです。

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出典:出産育児一時金についてはこども家庭庁「流産・死産等を経験された方へ」・全国健康保険協会(協会けんぽ)「出産育児一時金」(いずれも2026-07-18確認)。保険適用の考え方は日本アイ・ビー・エム健康保険組合・MSD健康保険組合の解説ページ(2026-07-18確認)。医療費控除については国税庁タックスアンサー「妊娠中絶の費用」(2026-07-18確認)。処置費用の目安は複数の産婦人科クリニック公開情報より(全国統計ではなく個別医療機関の目安である点に留意)