赤ちゃんを見送ると決めたあと、何をどの順番で進めることになるのか——それが分からないまま、次々に決断を迫られることが、いちばんつらいと思います。ここでは、手続きの全体像だけを、順を追ってお伝えします。
その選択にいたった理由は、ここでは問いません。どのような決断であっても、あなたなりの理由があってのことだと受け止めます。
まず、全体像
法律上、妊娠12週以降に赤ちゃんを見送ると決めた場合も、「死産」として扱われます。そのため、自然な流産・死産と同じく、死産届の提出と、火葬の手続きが必要になります。大きな流れは、次の3つです。
- 入院・処置(病院で)
- 死産届の提出(お住まいの市区町村役所へ)
- 火葬(火葬場の予約・実施)
順番に見ていきます。
1. 入院から退院まで
処置の具体的な進み方は、週数や病院の方針によって違います。ここでは、多くの病院で見られる一般的な流れをお伝えします。入院前に、病院からも説明があるはずです。分からないことは、遠慮なく聞いてください。
妊娠12週より前の場合、子宮の中に残っているものを取り除く処置を受けます(病院の書類には「子宮内容除去術」と書かれることが多いです)。日帰りで行う病院もありますが、当日入院して一晩経過を見て、翌朝の診察のあとに退院という流れの病院も多くあります。
妊娠12週以降の場合、多くはこのような流れになります。
- 予定日の前日に、子宮の入り口をゆっくり広げるための処置を行う
- 翌朝、または当日の夜に診察し、広がり方によっては追加する
- 翌朝、それを抜く
- そのあと、陣痛を促す薬を使う処置に進む(自然な死産のときと同じ薬を使う場合もあれば、別の方法を使う場合もあり、状況によって変わる)
どの処置も、始める前に必ず同意書への記入があります。12週より前・12週以降、どちらの場合も同じです。
2. 死産届の提出
死産から7日以内に、お住まいの市区町村の役所へ死産届を提出します。
- 死産届の書類は、病院側が用意してくれます(医師が書く証明書がついています)
- それを持って、住民票のある市区町村の役所へ
- 役所によっては、手続きと同時に火葬場の予約が取れて、日程を決めると火葬許可証が発行されます
役所の手続きは、代わりの人に頼める場合もあります。誰かに任せるのも、自分たちの手でするのも、どちらもその家族の答えです。
3. 火葬のこと
火葬は、亡くなってから24時間を経てからでなければできない、という決まりが基本ですが、妊娠7か月(169日)に満たない時期の死産は、この24時間の決まりの対象外です。だからといって急ぐ必要はまったくありませんが、知っておいていただきたい事実です。
費用のこと
まず知っておいてほしいのは、赤ちゃんの心拍が、何らかの理由で自然に止まった場合は保険診療の対象になりますが、何らかの事情があって妊娠を終わらせる処置を選んだ場合は原則として自費になるということです。母体の健康を著しく害するおそれがある等の理由による場合は保険が適用されることもありますが、実務では自費となるケースが多くあります。
処置そのものの費用は、全国一律の決まった金額はなく、病院によって差があります。目安として「30万円台〜60万円程度」を示しているクリニックが複数ありますが、あくまで一部の医療機関が公表している目安です。まず「費用はどのくらいかかりますか」と病院に聞いてみてください。
一方で、出産育児一時金は、妊娠12週(85日)以降であれば、死産・人工死産を含めて支給対象になります。金額は48万8千円〜50万円です(産科医療補償制度の対象かどうかで変わります)。処置が自費であっても、この一時金は別枠で受け取れます。
棺や火葬にかかる費用も、病院や地域によって差があります。まず「棺や火葬はどうしたらいいですか」と病院に聞いてみてください。病院で手配できるのか、自分たちで用意するのか。自分たちで用意する場合も、葬儀社に電話すれば相談に乗ってもらえます。時間に余裕があれば、通販で可愛らしい棺や骨壷を探す方もいます(詳しくは退院から火葬までの選択肢の記事へ)。
心に起きること
手続きは、事務作業です。届出を書き、役所に行き、日程を決める——赤ちゃんを亡くしたばかりの体と心で、これをこなすのは、本当につらい作業です。
手続きを終えたからといって、何かが「片付いた」わけではありません。あなたのペースで、これからも進んでいっていいのです。
次に読む: 赤ちゃんを見送ると決めたときの費用と、使える制度
出典: 死産の定義・死産届・火葬に関する規定は死産の届出に関する規程(昭和21年厚生省令第42号)・墓地、埋葬等に関する法律に基づく。出産育児一時金は こども家庭庁「流産・死産等を経験された方へ」(2026-07-18確認)。保険適用の考え方は日本アイ・ビー・エム健康保険組合・MSD健康保険組合の解説ページ(2026-07-18確認)。費用の目安は複数の産婦人科クリニック公開情報より(全国統計ではなく個別医療機関の目安である点に留意)

